「すいませんが、イチャつくなら、他でやってもらえませんか?」
田中くんがメガネをスチャッと上下に動かしながら、真面目にそう言ってきた。
「ふざけんなよ、てめぇ。
俺のハム子の隣になりやがって。手ぇだしたらただじゃ済まねぇからな?」
ドスのきいた声で、後ろにいた田中くんを威圧した緒方くん。
瞬間、田中くんは青ざめてスササっと3歩ほど後ずさりした。
田中くんは何も悪くないのに、なんてとばっちりだ…。
思わず同情してしまう。
「緒方くん。日誌終われば一緒に帰れるから。とりあえず今は、どけてあげて?」
私がそう言うと、ムスッと小さな子供みたいに拗ねる緒方くん。
「無理。我慢できない」
「そんな必死にならなくても、これからはいくらでも一緒にいられるよ」
わがままな緒方くんを、なんとか説得してみる。
「……本当に、ずっと傍にいろよ?」
すると、不安そうな小さな声でつぶやいた。