「すっごーい!今のフェイクまでは読めなかった!香椎君、絶対ストリートボーラー向きよ!」


負けたくせに、それでも楽しそうにピョンピョン跳ねる皇律子は、やはり破壊的に可愛い。


「じゃあ、俺勝ったし、帰るわ」


この時間をもっと味わいたかったという少しの名残惜しさを残しつつ、脱いだカーディガンを再び羽織る。


「いやいや、ちょっと待とうか」


「何?」


そんな俺を、さっきまではテンションMAXで跳ねていた皇律子が真顔で制止する。


「何って、勝ったらうちのチームに入る約束でしょ?」


「はぁ?途中で『君を負かしたうえでチームに入れてくれって土下座さしてやろうかな』って言ったのあんただろ」


「でも、初めの約束は『君が勝ったらチームに入る』だったでしょ?君って、約束守らないタイプの最低男なの?」


な……なんて女。きっと、勝っても負けても無理矢理こじつけて引っ張るつもりだったんだ、最初から。