そう言うと緒方くんは、抱きしめていた腕をゆるめて、私の顔を覗き込んだ。




そして、泣いてる私の顔を見るなり微笑むと、そっと涙を拭う。



「ははっ。泣きすぎ」




「だ、だって……!んんっ」




私が言葉を発しようとすると、緒方くんに唇を塞がれた。



久しぶりのキスに、体中が熱くなって、何度も触れては離れる緒方くんの唇に、ドキドキする。



腰に回された手がくすぐったくて、それがなんだか恥ずかしくて、身をよじった。







やっと離れた緒方くんの唇が、私の耳元へ移動すると、彼は優しく甘い声で囁く。




「おかえり、ハム子」




その言葉に泣きそうになったけど、必死に抑えて笑ったんだ。




「……ただいまっ」




だって、大好きな緒方くんの元へ、帰ってこれたんだから。