あたしはうれしくて、ママににっこり笑うんだ。



「じゃね、じゃね、次はね」

今度は前回りをしようと体を鉄棒より高く上げた。


そのとき――。


「まあまあ、可愛らしいお子さんですね」


あたしが知らないおばさんの声がした。


おばさんは優真を抱いてベンチに座っているパパの方によっていく。


ママもあたしもベンチにいるパパが気になって見ていると、おばさんは優真の頭をなでて笑っている。


「お子さん、とても似ていらっしゃるわね。特に目元かしら……」


あたしはその言葉をきいてびっくりした。

だってね、あたしと優真は本当の『きょうだい』じゃない。


パパはあたしの本当のパパ。


だから優真はパパの本当の子供じゃない。

『めもと』も似ているわけないのに。


あたしは浮いていた足を地面にくっつけ、パパの方に走る。

ママもあたしといっしょにパパのところに向かった。


「まあまあ、奥さんも一緒でしたのね? お嬢さんのお名前はなんていうの?」


「祈(イノリ)だよ?」

あたしがおばさんに向かってあいさつすると、おばさんはにっこり笑ってママを見た。


「祈ちゃんっていうのね、可愛らしいわね、大きな目がママにそっくりね」


『ママにそっくり』


だって……。


……えへへ。

それをきいたあたしの口がへにゃってしてしまう。


だって、すごくうれしいんだもん。


優しくてあったかいママに似てるんだよ?