「かかれっ!!」

みんなが一斉に敵に向かっていくなか、私はその場から動けなかった。

「くらえぇぇえ!!」

背後から浪士が迫ってきた。私は咄嗟に刀を抜こうとしたが間に合わず
殺られるっ…そう思ったとき…
目の前の浪士が崩れるように倒れた。
何が起こったのか、理解するまでに時間がかかった。
「大丈夫ですか、雪華さんっ!!」

「あ…沖…田…?」

「良かった。気を抜かないようにしてくださいね?」
「す、すまない…」

「大丈夫ならいいんです。行きますよ?どちらが多く手柄を立てるか勝負です!」

「わかった、負けないからな?」

それから総司と私は二階に向かい、浪士達と対峙した。

次々と浪士を切り伏せていると、一瞬だけ、どこか懐かしく、私にとって、恐怖に満ちた香りがした…。
その香りを感じた瞬間、意識が遠退いていく感じがした…。
そして、誰かに抱き止められる感覚の後、私は意識を手放した。

「やっと見つけましたよ」
という声が聞こえた気がしたが、意識はすでに暗い闇の中へと落ちていた。