暗殺――。
そんな言葉を聞いたせいだろうか。
あれから何日か後に、怖い夢を見てしまった。
暗殺。
まさか、まだこの国でそんな事が起こってるなんて。
信じられない。
信じたくない。
瑛さんが、人を殺した事があるかもしれないなんて……。
「わ、あわわ!」
ぼんやりしていたら、煮ていたお味噌汁が噴いてしまった。
慌ててスイッチを切る。
「おはよう、まりあ」
「おはよう、清良」
「今日の食事当番、まりあだっけ。
こりゃあ期待できるわ」
すでに制服に着替えた清良が、ホクホクした顔でテーブルについた。
「他の人は?」
「さぁ?」
「もう……」
もうそんなに余裕はないのに、男子二人が起きてこない。
起こしにいこうとドアを開けると、太一が寝ぼけた顔で現れた。
「おはよう、姉ちゃん」
「おはよう。ご飯食べてね」