しばらくみんなで花火をしていると、残り1個の打ち上げ花火となった。
「よし!じゃあラストスパートいっくよー!!打ち上げます!!」
皐月ちゃんが、打ち上げ花火に点火する。
そのとき隣にいた緒方くんが、私の耳もとに顔を寄せてきた。
コソコソ話かな?なんて思いながら、耳を傾ける。
「そういえば、まだ続き言ってなかった」
ヒューッと空に上がってく花火。
──バンッ!!!
夏の夜空に、すごくキレイな花火が咲いた。
それと同時に聞こえた緒方くんの声は、花火の音にかき消されて、きっと誰にも聞こえてない。
それでも、私の耳に届いたその言葉。
「俺も大好き」
……耳にかかった熱い吐息に、心臓がギュッと掴まれるような感覚。
それは私にとって、花火と同じくらい忘れられない思い出になった。