外は暗く、藍色の空にはところどころ雲が見える。

さらに見上げれば、三日月が顔を出していた。


耳を傾ければ、ジージーと名も知らない虫が羽音をたてている。

静かな空間が広がるガレージのこの場所は滅多に車は通らず、散歩道として利用されている。



深夜ということもあってか、人通りは極端に少ない。

物思いにふけるのにはちょうどいい。

そう思い、先ほどの美樹ちゃんとの一方的な会話を思い出す。


……ぼくはいったい美樹ちゃんの何に怒り、そして今、何に対して悲しみを抱いているのだろう。

彼女に裏切られたと感じるのはなぜだ?


先が見えないシンと静まり返った夜のここはまるで、自分の感情のようだ。


その日、ぼくは夜がずっと更けるまで、夜道を歩いていた。