「伊織、起きてー!」


「…………うぅん」


「いーおーりー!!!」


「…………………はっ!」


私の呼び掛けに、ぱちっと目を開けると伊織は飛び起きた。


「やっべ、時間ねえ!」


慌てて着替える伊織は、パジャマのスウェットを脱ぎ捨ててシャツに袖を通した。


「さっきから呼んでましたー」


「ごめんごめん、うわまじ時間ねえ!…ごめん、朝飯食えないかも」


「ええ!!」


「…………ごめん」


手を合わせて、必死に謝る伊織にふっと笑う。



「はいはい、わかったから早く着替えちゃいなよ。
本当遅刻するよ」


「ごめん、泉!今日、ケーキ買って来るよ」


「嬉しいけど…これ以上太らせる気?」



そう、話す合間にもう伊織は出かけられる格好になっていて、ネクタイを締めると髪の毛を軽くセットしていた。



「だってさー」


伊織が髪の毛をセットし終えて、玄関に向かう。


それを後ろから慌てて追いかける。


「ほら、お弁当忘れてるよ!」


それを差し出すと、伊織は靴を履いて笑顔で立ち上がった。