「もしかして、伶がここの理事長?」


「そうだよ。あれ?高輝(こうき)から聞いてない?」


高輝っていうのはあたしのお父さん。


「聞いてるもなにも、さっき高校に通うこと聞かされていきなりここにつれてこられたんだからね!」


あんのぉクソ親父がぁ!


「ははっ、やっぱ兄貴らしいなぁ…ははっ」


あのさ、笑い事じゃないんだけどあたしの気にもなってよ!

はぁー…しょうがない今日からここに通うって最終的に決めたのはあたしだから。


「なぁ、妃芽…。お前を今日理事長室に呼び出したのにはわけがある。」


急に伶の顔が真剣になる…


「何?どんなこと?」


「この学校は妃芽もわかっていると思うがかなりの不良校だ。」


それは、噂で聞いている。


「それに、生徒の中にはたくさんの族関係者がいる。中には汚い手を使う族の人がいるんだ。例をあげれば、黒神、黒龍、そして…」


そして?なんなの?怖い…嫌な予感が身体中に駆け抜ける。


「妃芽が一番近づいてはいけない族『黒虎(ブラックタイガー)』」


―ドクンッ


心がざわめく…こわいこわいこわい…


「でも、大丈夫だ。この学校に妃芽の本当の姿を知るものはいない。」