拷問のとき、小松の手は震えていたから、その時から心配だった。


本当なら行かせたくなんかない。


だが、人数が少ないことや、もしものときの連絡係として俺らも行かなければならない。


もちろん……小松も。


しかも、池田屋が本命であれば、局長の方は十人しかいないから、もしも会津の加勢が遅れた場合は小松も参加しなければならないのだ。





「お前……どっちが本命なのか、分かってるんだろ?」


「……うん」


「だけど、教えたら駄目だと思う。さっきも言ったけど、歴史が変わるかもしれないから……」


「……そうか」





確かに、小松がこれから起こること全てを打ち明けてしまえば、歴史は変わるだろう。


誰も、悪いことに進みたいなどと考えている者はいない、というのは当然であるから。


準備が整うと、だんだんに緊張してくる。


俺はいつも監視ばかりだから、このように新選組の隊員と一緒に出動するのは初めてだった。


しかし、刻一刻と迫る時間を止めることなどできない。





「よし……っ。じゃあ、行こう」





俺達は、祇園会所に向かった──。