尚の体調も
崩れることなく
お腹の子供も
無事に育ってるらしい。

そして、四月、
俺は二年になり
尚は大学一年になった。

問題は子供のこと。

今はまだ、
目立たないからいいが、
月日を重ねれば
必ずバレる日が来るのだ。

バスや電車など
公共の乗り物で
人にぶつかられたり
押し潰されたり
してないか
傍に居られない分
心配でしょうがない。

そんなん中、
小さな事件が起こった。

この時思ったのは
この場に尚が
居なくて良かっただった。

俺が一年生に
告白された……

女の子に告白されたのは
何年振りだろう?

「守藤先輩
好きです
付き合って下さい」

同級生や
先輩方(女子含め)は
俺と尚の関係を
知っているから
告白してくる人はいない。

『気持ちは
嬉しいんだけど
恋人がいるから
ごめんね』

最後にクラスと
名前を訊いた。

「そうなんですか……
私の話に時間を
割いて下さって
ありがとうございました」

丁寧なお辞儀をして
彼女は走って行った。

「よう、守藤
お前モテるんだな」

入れ替わるように
稲見先輩が現れた。

『見てたんですか』

呆れたような
口調になったのは
しょうがない。

「たまたまだ」

何か話したそうな
稲見先輩を
中庭にあるテーブルまで
連れて行き、隣同士で座った。

「佳稀さんが安海さんに
一昨日会ったら、
妊娠してて驚いたって
電話が来たから
確認しようと思ったんだよ」

尚がカミングアウトしたのか?

まぁいいけど。

「真相は?」

稲見先輩が
ニヤニヤ顔で訊いて来る。

『はぁ~
事実ですよ』

俺たちの関係を
知っている人物に
嘘を吐いてもしょうがない。

「今、何ヶ月目?」

興味津々だなぁ。

『三ヶ月とちょっとですよ』

この後、場所を旧校舎に
移して午後の授業を
二人でサボった。

『六時間目が終わりましたね』

遠くき聞こえるチャイム。

「そんじゃぁ、教室戻るか」

三年の教室は一階、
二年の教室は三階
となっている。

稲見先輩と別れ、
俺は階段を上った。

後ろのドアから中を覗くと
担当教師は居なかった。

ラッキーと思い、
担任が来るまで
普通を装って座っていた。

学校が終われば、
そっこうで尚の
大学まで行くのが
俺の日課になっていた。

旦那としては身重の
嫁が心配なのは当然だ。

こういう時、
年下は少し不利だ。

二年の歳の差は大きい……

だけど、頑張って
尚を支えられる旦那になりたい。

母親二人は
すっきり、俺たちの味方だ。

高校を卒業したら、
進学はしないで
働こうと思っている。

年下だけど、あくまでも、
旦那は俺なんだから。