そう思い、階段をのぼりながらあたしは昨日お風呂に入る前にあった出来事を話してきかせた。


「呪われる……?」


最後まで聞き終えたいろはちゃんは眉間にシワを寄せて、真剣な表情を作った。


「そうなの。いろはちゃんはどう思う?」


「そんなの嘘に決まってるじゃん」


さっきまで真剣な表情を一変させて、いろはちゃんは笑った。


「どうして嘘だと思うの?」


「だって、本当に子供騙しみたいな噂だもん。それに竜季君カッコイイから、わざとツムギちゃんにそんなこと言ったんだよきっと」


「そっか……。実はあたしも、そうなのかな? って思ってた」


「入学式の前にそんな嫌なことを言う先輩のことなんて、気にすることないよ」


「うん。聞いてくれてありがとういろはちゃん」


いろはちゃんに聞いてもらったことで少し心の重みが取れて、あたしはホッとしたのだった。