朝日のこと、諦めるって決めた。

このままずっと想っていても、こっちを向いてくれることはないと、気付いてしまったから。

だから、中村くんと本当に付き合って、朝日のことなんて忘れてしまおうと思った。


なのに、まさかのこのタイミングで、隣の席になっちゃって。

ただでさえ、近くに居すぎて苦しいのに、授業中ヘマしちゃったあたしを、助けてくれたりなんかして。


そしたらもう……頭の中、朝日でいっぱいになっちゃって。


調理部で焼いたクッキーには、溢れるくらいに気持ちが詰まってしまった。


……だから。

だから、朝日に受け取って欲しかった。


助けてくれてありがとうの、感謝の気持ちも込めて。

これが本当に最後だよ?って、未練を引きずる心の中の自分に言い聞かせて。


――なのに。