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4月上旬、春の風に吹かれながらあたし、柳井ツムギ(ヤナイ ツムキ)は彼氏の光本竜季(ミツモト リュウキ)と一緒に、松林高校の学校寮へと来ていた。


「竜季、こっちこっち!」


ガラガラと大きなキャリーケースを引きながらあたしは竜季に手を振る。


「待てよツムギ!」


竜季も旅行カバンに入るだけの私服と、身の回りに必要なものを下げている。


「へぇ、ここが女子寮か」


「結構綺麗だよね」


あたしたちは真っ白な3階建ての寮の前で立ち止まり、その外観を見上げた。


建物自体は古いものらしいが、何度か建て直しをしたり塗り直したりしているため、見た目は今風のマンションになっている。


「今日からここで生活かぁ……」


あたしはそう呟き、寮の近くの松林高校を遠目に見た。