「おはよう、さっ皐月くん」


やっぱりだめっ、恥ずかしすぎる。

私はこんな情けない顔を見られたくなくって、顔をそらしながら階段を下りていく。

「っく……ふ……っ」


後ろから聞こえたくすくす笑いに、いじけながら。


いつものように台所で、お弁当のおかずを作る。……昨日まではこそこそ、皐月くんのお弁当を作っていたけれど、今日は違う。


「……よし」


私のお弁当と、ひとまわり大きい皐月くんのお弁当を見て、私はよしよしと頷く。


これなら、皐月くんもおいしいって食べてくれる。……おしいなんて言ってくれるとは、思えないけれど。


ふたを閉めて、お弁当袋に入れた後───ちょうど、洗面所からやってきた皐月くんに


「翔太起こしてきてくれる?」


「んー」


皐月くんは濡れた髪をタオルで拭きながら、翔太を呼びに二階に上がっていく。