芳乃が戸惑っているのは明らかだった。


だから……本来であれば、俺は口を挟める身ではないのだが、気付いたら言葉を発していた。





「副長。こいつは今、何らかの理由で混乱しているのだと思います。少し落ち着かせてから、もう一度聞き直しませんか」


「あ?だがな、山崎……」


「それに、まだこいつの情報も全く集まっていません。資料が揃った上で尋問をするのが妥当かと思います」





そうなのだ。


芳乃は確かに生きている……どこにも、消えてなどいないのだ。


だから、何かしらの情報は出てくるはずだ。


それに芳乃本人がいるのだから、直接聞くのもいいかもしれない。


俺の意見に、局長と副長は賛成してくれ、芳乃を連れ再び土蔵へと行った。