あいさつを返すと、俺のいることに気付かなかったのか、

びくっと肩を震わせたかと思うと、


「……み、御影くん……」


と、眉をハの時に下げて、困ったような顔で小さくつぶやいている。


「どうしたんですか?朝から」


「いやー困ったことに、私も仕事が急に入っちゃって」


高いヒールに履き替えて、腕時計をちらり、と確認して茜さんはさらりと言った。





「───しばらく家を留守にするから、

 皐月くん、大変でしょうけれどゆりと翔太をお願いね」








「……は?」