空を仰ぎ見ながら、ぼけーっと今までのいきさつを思い出す───
「───は?」
俺は、思わず素っ頓狂な声を出してしまった。
耳に当てた携帯から、いつもと変わらない抑揚の少ない、父親の声が聞こえてくる。
『だから───皐月、白井さんの家で居候してくれ』
「……意味わからないんだけど」
『海外出張で、しばらく家を出るんだ。身寄りもないから、知り合いの家に引き取ってもらおうと思ったんだが』
「いきなり、それって」
驚きを通り越して、呆れるほかなかった。
父親とはあまり話さなかったし、もともと寡黙な人だったから、
考えていることもよくわからない人だったけれど。