「ど、どうにかしてここを続けることはできないんでしょうか?」

せっかく見つけた……ううん、樹さんが作りだしてくれた私の居場所。まだ失いたくない。

「うーん……昼間だけここにいて、夜は茜に任せようかとも考えたけど、家庭もあるから大変だろうし、俺も慣れるまで時間がかかると思うからね。なんとかしたいんだけど、ちょっと難しそうかな……」
「そうですか……」

茜さん、お子さんもいるもんね。

何も言えなくなっていると、入口の扉がカタンと音をたてた。

「その話、どういうことですか?」

現れたのは加絵さんだった。

「加絵ちゃん……」

彼女は樹さんの呼びかけに答えず、ただ呆然と立ち尽くしている。

「このお店、なくなるんですか?」

今にも倒れそうな足取りで店内に入ってくると、樹さんに尋ねた。

「ああ、そうなるかもしれない」
「そんな……私が彼氏にフラれた時、ここがあったから、樹さんがいたから立ち直れたのに……!」

以前、樹さんに抱きついていたのはフラれて取り乱していたのか。何にせよ『Caféサプリ』は加絵さんにとっても大事な場所なんだ。

私に何かできたらいいのに……。