ケータイ小説 野いちご

レンタル彼氏【完全版】

長く、長く吸い込んだ煙をゆっくりと時間をかけて吐き出した。


いつから、俺はまたタバコを吸うようになったんだっけ。
もう、分からない。

何か、手にしてなければ俺を闇が襲うから。


“あれから”一ヶ月が経った。

時間にしたらあっという間。

机の上に乱雑に置かれた携帯をふと見る。
その、真っ青な携帯を。


「…はっ…」


小さく嘲笑うと、俺はタバコを力任せに揉み消した。
と、同時に灰皿の近くにあった携帯が震えた。

着信相手は分からない。
知らない番号。


こんな仕事をしてるから、嫌がらせの電話もあったし、ストーカーみたく電話されることもあった。

だけど、まだ携帯を変えて一ヶ月。


誰だろう…。
そう、思いながら俺は携帯を取って通話ボタンを押す。


「もしも「ちょっと!伊織!」


俺が話すより先に、通話相手が叫ぶように俺を呼ぶ。

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