箱のふたを開けると、小さい頃交換日記をしていたノートや便箋セット、それからひかりが身につけていたローズクォーツのブレスレットがあった。

でも……なんだろう……あのとき見たブレスはもっとピンク色だったような……。

あたしはブレスレットを持って見つめた。

少し赤い気がするのは電気のせい?

「そのブレスレット、亜美ちゃんに似合うと思って。ひかりが大事にしていたものだから時々身につけてあげてね」

「あ、はい。これをつけているのを見ました。大事にしますね」

あたしはブレスレットを箱に戻した。

下のリビングでお茶を勧められ、飲み終わると21時になっていた。

「あたし、もうそろそろ……」

娘が帰って来たみたいで嬉しいと言われ、なかなか言い出せなかった。

「そうね。もう遅いし。またおばさんの話し相手になってね」

「はい。お身体に気をつけてください。あの、おばあ様は?」

家の中はシーンと静まり返っている気がした。いつ来ても三味線の音が聞こえていたのに。

「ありがとう。義母はひかりのことがあってから、床に伏せってしまって……」

そうだったんだ……。

門の外まで見送られ、あたしは箱を自転車の前に入れて家に向かった。