俺。



捕まるのかな。

ぬるっと…母さんの血が俺の手にまとわりつく。



何も考えらんなくて。




ぼんやりと。
横たわる母さんを見つめた。



母さんの端正なその、素顔。


母さん。
俺といて幸せだった?


母さんは結局、あいつを選んだの?


後から考えたら、母さんが守りたかったのは俺だってわかるのに。


あいつが憎い。


その時の俺は正常な考えが出来なくて。


ただただ、母さんを苦しめて。
他の女の元へ行った父親が憎くて。




あいつに復讐するまでは…捕まれない。


捕まることなんて、出来なかった。



救急車を呼ぶこともなく、母さんをさっさと見捨てたあいつを。

許さない。
絶対、絶対…許さない。





気付いた時には俺は携帯であるところに電話をかけていた。