ケータイ小説 野いちご

こっちを向いて、恋をして。


今出て行ったら、気まずい空気になるのは分かってる。

せっかく『ありがとう』って感謝されたのに、一瞬にして悪いイメージになってしまうことも分かってる。

……だけど。


俺はロールケーキを鞄の中に突っ込んで、足早に教室から出た。

すぐ近くに立っていた、岩崎と大西の顔は見ずに、階段を勢いよく駆け下りる。


大きく立てた椅子の音は、ふたりの会話を『うるさい』って言っているようで。

こうして不機嫌な態度は、きっと『感じ悪い』って思われただろう。


それでも、堪えきれなかった。


どうしようもなくムカついて。

その理由が分からないから、一層イライラして。


ぐるぐると心の中を、掻き混ぜられたような気持ちだった。

< 210/ 363 >