「はーい」

あたしは気のない返事をして、隣のコートで打ち合っている翔平をちらりと見た。

コートに入ると、翔平はあたしをまったく気にせずにボールに夢中になる。

少しさびしいけれど、テニスは集中力が大事だもんね。


ひかりが小杉に告白してから2日が経った。

小杉の本心を知ってしまったせいで、あたしはひかりに返事があったか聞けないでいた。

帰りのホームルームが終わると、いつものんびり帰り支度をしているひかりが、今日はさっさとカバンを持って立ち上がった。

それからあたしのところにやって来る。

「亜美ちゃん、今日も部活だよね?」

「うん。ひかり、今日は早いんだね?」

「ちょっと用事があるんだ」

そう話すひかりは満面の笑みで、これから楽しいことが待っているのかな?と、あたしは思った。

「じゃあ、また明日ねっ!」

ひかりはそう言うと、教室を出て行った。


今日の練習はきつかった。

乱打でミスした者は、腕立て伏せを20回やらされた。

あたしはなぜか集中できずに、やるたびにミスをしてしまい、腕立て伏せを合計100回やるはめになった。