なんて、何考えてんだろ……と、窓の外へと目を向ける。

だけど、会話は自然と耳に入って。

「喜んでくれた?」

「うん」

今度はきっと、照れたような顔。


……何で。


何でこんな、大西の表情なんか思い浮かべてるんだろう。

視線を少し戻せば、机の上には岩崎からもらったロールケーキ。

内容はどうであれ、ふたりで話せたことは幸せで。
こうして、手作りのケーキまで貰えたっていうのに。

それなのに、何で……。


「いいな、ひかりはラブラブで」

「らっ!ラブラブじゃないって!」


イライラする。

何に対してなのか分からないけど、すっげームカつく。


「照れなくてもいいじゃない。じゃあそろそろかえ……」

ガタンッ!


あと少し。
あと少し、我慢すれば良かった。

だけどその少しが我慢できなくて。

音を立てて立ち上がった。

すると、しんと静まり返った廊下。