しょうがなく取り残された私と順二は顔を見合せて、帰ろうかと話をした。


「もう暗いし、送るよ」


「え?大丈夫だよ。自転車あるし」


「バーカ、いいから送られておけよ」


「はあ?よくわかんないけどっ」


「いいからいいから」


「まあ、いっか」


「そーそー」

そうやって、はにかんで笑う順二がいつもよりカッコよく見えて。
ドキッとする気持ちを、私は心の奥底に沈めた。


いくら私でも。
伊織が私を好きじゃないからって。

ふらふらしてちゃダメじゃないか。


そうやって、心の中で叫んで順二を意識してしまいそうな自分を戒めた。