「あ……、うん、大丈夫。それじゃ夜行くよ」


電話越しのリンの声がわずかに低くなる。


「……あのさ、私の部屋では会いたくないんだ。どこか外にして」


えー!?軽く拒否られた!?部屋に入れないって事は俺もう駄目なの!?永遠にハウスのままなの!?


激しく動揺したけど、まわりにはパートのおばちゃんがチラホラ見える。それに俺にはここでゴネる資格など無い。


「う……、うん、外ね……。じゃ、迎えには行ってもいい、かな?」


「あー、別にいいけど」


実に素っ気く少し迷惑そうにも聞こえるリンの声が悲しい。


今日とどめを刺される可能性大なのか?刺すならどうか一思いに……。いやっ、やっぱりそっと優しく刺して!


その後一方的にリンに電話を切られた俺は、二週間もの放置の末に待ち受ける現実が想定出来ず、おののきながら夜を迎えた。