俺はしばらく固まって、その名前を見ていた。


延々と震えてる俺の携帯。


「……………は、はあ?」


あまりにしつこいので、俺は仕方なしに通話ボタンを押す。


「もし「もしもし!?!」

俺の声を遮って泉が耳をつんざく声で喋った。


「い、いいい伊織!?!」


俺の名前呼ぶのにどんだけどもってんだよ。


「……何」


「伊織!うわ、まじ伊織だ」


…………は?
なんだそれ。

俺にかけたんだから俺が出るだろ?


…………さっきのりさに似てる発言撤回していいかな。


「伊織、今どこ!!」


「…………何で」


「あーえー、日本各地伊織のいるとこどこでも行くから!」


「今、ニューヨーク」


「はっ!?ま、まじ……………」


お、黙った。


「わかった、それでも行く!」


ちっ。
こんなんで黙るわけねえか。