「なっ、何それ!私だって後数年したらね、それなりに!って、おい!聞け!」

私が必死に喋ってるのに、伊織はすっかり冷めてしまったハンバーガーを頬張っていた。


「ふぁいふぁい、ひーてるよ」


「汚なっ!口に入れたまま喋らないでー」


ケラケラ笑う伊織には、さっきの陰は見当たらない。




…消え入りそうな声だったけど、私にはちゃんと聞こえた。

連れ出してくれる人



どんな考えで、そうなったのかわからない。
やっぱり、伊織はわからない。




もう、記者魂というよりも私の興味だった。



素直に伊織をもっと知りたい。


そう、思ったんだ。