「よしっと、
これで静かになったな。」


「な、なんで電源切っちゃうんですか?」


「なんでってーーー
お前にこうする為だろ?」


そう言いながら、
また顔を近づけてくるサトルさん……。


こ、こんなにも顔が近くて……
ど、どうしよう……って
戸惑うのに身動きが出来ない
くいっと顎をまた持ち上げられ……





私は素直にそっと、目を閉じた……。














「お待ちなさいっ!」


狭い作業場に甲高い声が響いた。
声のした方を見てみるとーーー


「どこかで会ったような……?」


「何、とぼけた事を言ってるんです?
この泥棒猫がっ!」


はぁ?
泥棒猫?


しっつれいな人よね。
だけど、何か初対面じゃないような……













「ああ~っ!
サトルさんのお見合い相手っ!」


そこに立っていたのは
もう忘れつつあったサトルさんの
見合い相手だった。


あの黒髪美人のーーー。


「おい、何、勝手に入ってきてんだよ。」


サトルさんがその人に向けて言うと


「勝手にですって?
今、私、あなたに電話したじゃないですか?
それをブチッと勝手に切るものだから……。」


「ったく……。表にいたのかよっ。」







えっ、
も、もしかして
さっきの電話って……この人なの?


切っちゃダメでしょ、電話ぁ~!