そして。

「……………あーあ。気に入ってたんだけどなぁ、このケータイ…」

ため息をついた。

児玉くんの手には私が踏んで壊してしまったガラケー。

「うっ……だから弁償するよ、本当にごめんなさい…」

慌てて何度目かわからない謝罪をしたが、にこやかに児玉くんは微笑んで、

「だから、弁償はいいよ、うちの学校バイト禁止だし。親に払ってもらうのも変でしょ。

そのかわり、さっきから言ってるみたいに、ニセモノのカレカノでいいから付き合ってるフリしてよ」

爽やかなはずのイケメンの笑顔が有無を言わせない雰囲気を漂わせていた……。