その声とほぼ同時に、頭上から「鈴森」とあたしを呼ぶ声がした。

顔を上げるとそこにはどこか険しい表情を浮かべた三浦君が立っていた。

「三浦君……」

どうしてここに……――?

三浦君を見た瞬間、不安がわきあがり思わず顔が強張る。

震えそうになる手の平をもう片方の手でギュッと押さえつけた。

「ちょっといいか?」

「あ、あたしに……何か用……?」

緊張から石のように固い表情になる。

それに気付いたのか、三浦君の表情も強張る。

「あぁ」

ドクンッと心臓が震える。

口の端が引きつってうまく笑えない。

「じゃあ、ここで話してくれる……?あたし、ちょっと体調が悪くて……」

そう言いながら後ろを振り返り、翔の姿を探す。

だけど、翔は学食へ行っているのか教室に姿はなかった。