「いってー…」
「…………かっ。帰りますっ!!」
私は急いで受け取ったカーディガンを手に取ると、立ち上がる。
そして、走って部屋を出て行った。
「あっ!おい、ハム子!!」
緒方くんに名前を呼ばれたことも無視して、
まだドキドキとうるさい胸を抑えながら、全速力で家まで帰った。
家に着いて、部屋にいるハムスケのもとまで行く。
「……ハムスケ…。ごめん。
また、ヒマワリのタネ持って帰ってこれなかった……」
緒方くんの家に忘れてきてしまった。
「……ごめんね。
なんだか……ずっとドキドキしてるの」
この胸の苦しさが、私にはよく分からなかった。