「ごめんなさい」

「よろしい。でね、笹倉先生はその人を自分に惚れさせたの」

「へー、……うざっ」

「それで結婚して、子どもが生まれた」

「それでー?」

「終わりよ」

「…」

「…」


ふたりは見つめ合い、暫しの間沈黙。すると亜子が突然机をバンッと叩いた。


「最後普通っ! 超普通っ!」

「あたしもそう思う」

「そうだな。けど実際に俺、宇宙人と交信したことあるぞ」

『……え?』


何食わぬ顔で唐突に入ってきた人物に亜子と苑加は一斉に視線を向ける。


「さ、笹倉先生…」

「いつからそこに…、ってえ? 宇宙人と交信って先生どういうこと…」

「お前らー、授業始めんぞー」


笹倉は亜子の問いに答えずスタスタと教卓に向かって歩き出す。

彼女たちは顔を見合わせて、それから彼の大きな背中を見つめる。


『……え?』


笹倉の謎がひとつ増えた瞬間だった。


【END】