「はぁ、やっぱり女の子は癒させる…」


ぽーっと目を細めてまだ言う友香里にぼそりと思っていたことを言ってみる。


「………お前も女やろ」

「生物学上一応な」


しかしサラッと返され顔をしかめる天斗。


「……」

「ん?どした?」


黙った彼を不思議に思った友香里は首を傾げる。


「一応やない」

「ん?」

「俺にとったら女の子はお前だけや、阿呆」


ぷいーっとどこかふてくされたように視線を反らす天斗に目を瞬かせて見つめた後、プッと彼女は吹き出す。


「本当、天斗も物好きだよなー」

「……悪かったな」

「別に悪くはねぇよ」


クツクツと喉で笑う友香里は彼が作ってくれた弁当をひろげ、卵焼きをパクリと頬張った。


「んーまっ! 幸せだーっ!」


口の中は甘い卵で満たされている。友香里は頬を緩めた。

その様子をジッと優しい目で見守る天斗。


(……食べてる友香里はかわええな)


いつも美味しそうに食べてくれるから、彼の気分もいい。


「なーなー、天斗っ!」

「何や?」

「今度からオカンって呼んでいーか?」

「…」


輝いた瞳で見つめてくる彼女に天斗は無言でバシッとその頭を叩く。


「な、何も叩かなくてもいーだろっ!」


ギャンギャンと騒ぎ始める友香里を無視して自分もご飯を口に含んだ。


「なぁ天斗っ! 聞いてんのか!?」


(…まぁ、こういうところは腹たつけどな)



【END】