「ハイ! お母さん連れてきたよー」


「ありがとう叶子」


にこりと笑って部屋に戻って行く叶子。



むかつく。


「じゃ、そんな優しい楓には嬉しいお知らせよ」


「……」


「夕飯の材料買ってきてちょうだい。よろしくね♪」


「はぁっ!?」




冗談じゃない。


夏休み中は1歩も外に出ないって決めた、俺の目標が崩れる。



露骨に嫌がる俺を見て、母さんは言う。


「何よまったく。今まで寝てたんだから、それくらい良いじゃない」


「………」







……結局、行く事に。

着替えるのさえ面倒くさいのに、今から夕飯の買い物なんて。




重い気分で、玄関を出た。