(何故逆ギレされなきゃいけないんだっ!本当のことを言っただけなのにっ!)


目が潤む中必死で彼に謝ると、ようやく離してくれた。


(くそぅ…)


ムスリと眉根を寄せていると、笹倉は何かに気付いたように彼女の後ろに視線を投げる。

亜子はその表情のまま流されるように振り返り、彼と同じ方向に目を向けた。

その先にいたのは。


「おい、あそこに峯がいるぞっ!」

「アイツ、また教師をからかいやがって!」


理数系男性教師陣二人だ。彼らは足早にこちらに来る。


「…げ」


(忘れてた…)


なんと笹倉の前に、他の教師をからかって遊んでいたのだ、彼女は。


「……お前、本当懲りねぇよな」

「取り柄だからねっ!」


呆れた様子の彼に素早く決めポーズをキメた亜子は踵を返して走り出す。


「待てっ! 峯っ!」

「今日という今日は覚悟しろっ!」


こうして亜子と教師陣による鬼ごっこが開始されたのだった。


【END】