「えっ!? 中村くん……って、石丸くんの友達の?」

「……うん」

コクン、と力なく頷く。

あたしの目の前、目を真ん丸にさせるのは優衣で。
少し落ち着かない、慣れない雰囲気は、ここが優衣のクラスの教室だから。

「ね、どうして? いつの間にそんな仲良くなったの?」

「いや、別に仲良くなったから……ってわけじゃなくて」

昨日作ったブラウニーを、中村くんにあげた理由。

「たまたま中村くんが通りがかったから、みたいな。朝日にあげるつもりだったのに、自分で持って帰るのも何かね」

「……」

ハハッとあたしが軽く笑うと、優衣は眉をハの字にさせ、悲しそうな顔をする。


たぶん優衣は、ブラウニーを無事に渡し、仲直りしたと思っていた。

何故ならさっき、あたしの隣には朝日が立っていたから。