遊園地へと向かうため、直大さんの車に乗り込む直前。
「今日のひかり、すっごくかわいい!」
と、優衣が褒めてくれた。
「石丸くん見惚れてなかった?」
と、コソッと耳打ちされた。
だけど、朝日が本当に見惚れていたのは……優衣の方で。
あたしのことも、そりゃあ少しは女の子として見直してくれたのかもしれないけど、そんなことは優衣の登場によって、一瞬にして消し去られて。
その瞬間、無意味になった水色チェックのワンピース。
「優衣の方がかわいいよ」
言い返した言葉は、お世辞のように聞こえて、お世辞じゃない。
優衣の方がかわいい。
優衣の方が女の子らしい。
優衣の方が愛されてる。
それは、どうやっても覆せない事実で。
心の底から優衣が羨ましいと思った。
出来ることなら優衣になりたいって、そんなことすら思った。
だけど、いざ現実になってみると、ものすごく嫌だった。
優衣の“代わり”は、嫌だった。