目が合ったのは、一瞬で。

「ひぁっ……!」

朝日は突然あたしの腕を、とても強く引いた。

そして……。


何が起こったのか、分からなかった。


ふわりと、ミントの香りがしたと思ったら、目の前には朝日の顔。

戸惑う声を漏らすことも出来ないのは、口を塞がれているからで。

何で塞がれているかって、それは……。

それ……は。


ゆっくりと離れていく、朝日の顔。

あたしの口を塞いでいた部分が、やっと目に入って……。


「口移しとか言うくせに、キスくらいで固まるんだ?」

「っ……!!」

自覚するより先に、見つめていたそこが事実を紡いだ。


……そう。あたしの口を塞いでいたのは、朝日の口。

つまりキス、されてしまった。

好きで好きでたまらない朝日に。

……なのに。


バチンッ!

ゴンドラ内に、大きく響いた音。


「最低っ!」


あたしは思いっきり、朝日の頬を引っ叩いていた。