十月の朝日を浴びて、

淡いレモン色に光る葉をびっしりとつけたイチョウの前で立ち止まる。


かたわらにひっそりとたたずむ白いベンチ。


イチョウの葉の隙間から漏れる黄色く柔らかい光が、

古くなったそのベンチをあの頃のように白く白く照らし出す。



そして、光の中で小さく浮かび上がるふたりの名前。




“宏人&由希”




今も残るその名前を、そっと人さし指でなぞったあと、

ベンチの右側をやや広めに空けて、ゆっくり深く腰かける。




・・・あの頃と変わらない。



腰を下ろすベンチの感触も、

ここから見るこの景色も……