「じゃあ、行ってくるね」

トントンと軽快な音を立てながら靴を履く。


「いつ、戻ってくるの?」

美玲はまだ心配そうに言ってくれた。


「3時間後には戻ってくるよ」


ワイバーンを倒すのは面倒くさいんだけど…たかだかワイバーンごときに時間をかけていられない。


「本当に一人で行くの!?絶対にストーカーされるわよ!!」

すごい勢いで言われた。

「大丈夫だよ、瞬間移動使うから。それにこんなのをストーカーする物好きなんていないから」

そう笑うと、

「……」

美玲さんは黙っちゃっいました。


パッと視線を上げると、雅人と翔太まで来てくれているのが分かった。


「本当に気を付けろよ」

雅人が言った。


「本当に由良はバカだからな」

翔太が真顔でそう付け足した。


「バカじゃないもん!」

まったくこいつは、可愛げがない!

でもきっと、怪我するなってことなんだよね?


「じゃあ、行ってきます」

「いってらっしゃい」

美玲が手を振ってくれた。


皆の優しさに感謝しながらあたしは魔法を使った。


「"モーメント・ムーブ"」

あたしは目を閉じた。