商店街を抜けると、住宅街に隣接する、幼い頃、ダチと走り回った広場が見えてくる。

 一昔前は、鉄条網で覆われ、『入るな危険』なんて書かれた看板が建っていたものだけど、今は、その鉄条網は安全なフェンスに代わり、中で、少年野球の練習なんかが行われている。
 その安全なフェンスの中で甲高い声を張り上げ、親に見守られながらボールを追いかけるガキどもを、俺はしばらく眺めることにした。

 つっても、そんなものに当然興味があるわけではなく。
 時間だけは余る程ある俺は、そうでもしなけりゃ時間を潰せねえってだけのことだ。

――野球ねえ……。

 俺らがガキだった頃も、もちろん少年野球チームはいたるところにあったけれど、俺はそんなモノには全く興味もなく。
 興味はあっても、親が練習などに参加することができないという理由でそれに入部できなかった商店街のガキたちと、毎日この広場や商店街を走り回り、遊び呆ける毎日だった。
 
 商店街の、オヤジ、ババア達に見張られながら。

――見守られてるお前らとは違うんだよ。

 それにしても、この師走の寒空の下、鼻水を垂らしながら走り回るガキどもの姿は、今も昔も変わりなく。

 俺は、背を丸めながら、その生ぬるいガキどもを見つめていた。