間もなく市外に出て、建物もなく街灯も少ない雑木林だけが並ぶ淋しい国道に入った。


まだまだ長い帰り道で、俺は鼻水を垂らしながらリンとの出会いを思い起こし始めていた。


お洒落で格好良いジーンズショップのリンと、流行りの物には興味もないしがない牧夫の俺。


普通に生きてたら接点なんかあるはずもない俺達が出会ったきっかけは、あの阿部さんの計らいだった。


もともと俺も阿部さんも飲みに行くのが好きで、いつの間にかたまに一緒に行くようになってから何度か聞いてた「お嬢」の言葉。


阿部さんのお気に入りの一人で、よく「こんな俺に生意気な口を叩くいい度胸した女なんだ」って聞いてた。