「一緒に瞬間移動するわよ」


あ、その手があったね。

忘れてた。


「ほら、手をつないで」


差し出された手を思わず見つめてしまう。


美玲の手はとても綺麗だった。

細くて長い、綺麗な手。




…この手をつかんでしまったら、もう戻れない気がするの。


あの日から、独りで生きていくって決めたんだ。



もう誰も傷つけないために。

あたしも傷つかないために。


あたしはもう誰も失いたくない–––––


「由良!早く!」


美玲に手を掴まれた。

「あっ…」


そのまま


「"モーメント・ムーブ"」

美玲は杖を取り出し呟いた。


風が吹き荒れて、思わず目を閉じてしまう。