「何を」

「暑いからって不機嫌だな!」

「うるさい」


暑いのは大の苦手。

寒いくらいが丁度いい。

冷房はガンガンに効いているが、もっと涼しくても良いくらいだ。


「編入生が入ってくるっていう噂よ!」


隣の席で、俺のもう一人の幼馴染である、海音寺美玲(かいおんじ みれい)も話の輪に入ってきた。


「編入生…?」


なんだ、それ?

初めて知ったんだけど。


「あんた、知らないの?」

「おいおい、学校中が噂してるぞ?」


二人に呆れられた。

少しムッすると、二人してニヤっと笑った。



「それがとんでもなく強いヤツらしい」

「もしかしたらあんたより強いかもね?」


ふーん…

俺より強いヤツ、ねぇ。


自分で言うのもなんだが、俺より強いヤツなんてそうそういない。

そんな奴がいるなら会ってみたいものだな。



ガラッと教室のドアが開いた。


生徒は一斉に席に着く。



「えー今日は朝礼の前に、みんなに紹介したいことがある」


ざわつく教室。