お父様は溜息をついた。

その音のせいで嫌な汗が首筋に伝う。


「何度も同じことを言わせるな。

それとも…

私の命令が聞けないと言うのか?」

睨まれる。

それも氷の如く冷たい目で。


あたしの家ではお父様が絶対の権力者。

お父様の命令は絶対。


つまり…

お父様には、絶対に逆らえないということ。

怒らせるのも厳禁です…


「い、いえ、そんなことは…!」

慌てて訂正した。

お父様にだけは逆らえない…


反抗したら、一体どんな仕打ちが待っているか…

想像しただけで、ブルブルと身震いした。

今から魔物を五百匹倒してこいとか、
山奥の奥のジャングルみたいな土地にしか生えない薬草をとって来いとか…

こんな体がとけそうなくらい暑いのに、屋外に出たくない!



「では、いいな。





明日から、



ソルテリッジ魔法学園に編入しなさい」


お父様の絶対命令がくだる。


「…はい」


感情を押し殺す。

お父様の絶対命令だと、自分の心に何度も強く言い聞かせた。