「……、…ぞ、……って…おいっ!!」
「ん…?」
体を揺すられる感覚に。
頭の中が動き始める。
「…あれ…?」
ここは相良の車の中。
薄らと相良の香水の匂いがする。
うん、それは間違いないらしい。
「ずいぶんと気持ち良さそうに寝てたな」
「え…」
ククッと笑いを漏らす相良は。
ハンドルに預けていた体を持ち上げて、車のエンジンを止めた。
やだ、私…寝てたっ!?
慌てて体を起こして車の外に視線を持っていくと。
そこには。
無機質なコンクリートの壁と数台の車が見えるだけだった。
「…ここ、どこ?」
「俺んち」
「はっ!?」
今、なんて?
“俺んち”って、聞こえた気がしますけど…。
気のせいだと思いたい。
でも。
周りの景色はそうは言ってくれなかった。