「シャワーしてきたんでしょ? 私まだだから、くっつくと汗っぽいかも」

「いいよ、そんなこと。また一緒に露天風呂に入ればいいんだから」


いやいや、それが一番危険なようなきがするのは私だけ?


と言うか、もうすでに危険な状態にある私の身体。思わず身体を縮こませてしまう。


「さすがに今日はもうしないから安心しろ。まぁ菜都がどうしてもって言うなら話は別だけど」


ニヤッと笑い私を覗きこんだ龍之介に、慌ててブルブルと顔を横に振ってみせる。


「そっか、残念。でもまぁ、これからはずっと一緒だからな?」

「う、うん」


肩を抱かれ髪を撫でられると、スーッと身体の力が抜けていく。


身体を預け龍之介の顔を上目づかい見れば、今日一番の笑顔がそこにあった。


「この笑顔は、爽やか堤所長?」

「またかよ。……菜都さんは、そんなにこの僕が好きなんですか?」

「初めて会った時は、本当に素敵な人だと思ったよ。けど……」

「けど? なんですか?」

「……どちらも龍之介なのはわかったけど、意地悪で勝手で俺様な龍之介の方が龍之介らしいというか」


まさか自分が責められるのが好きだったなんて、口が裂けても言えなくて。


「なんかスゴい言われようだけど。まぁとにかく、俺のことが好きで好きでしょうがないってことだよな?」

「そういうこと……かな?」


俺様でどうしようもなく勝手極まりない龍之介のことが、心の底から好きみたいです。